Heart of Innocence 〜きみの願いが叶えばそれだけでいい〜
僕のほうから促すと、彼女は会釈して駆けていった。

そんなに慌てて、コケるなよ…と思いながら、その背中を見送った。

第一印象は、華があって可愛いな、というごくシンプルなもの。

もう二度と会うこともないだろうから、大して気にしていなかった。

ところが、コンクールの結果発表のあと、

「ねえ!ちょっと待って!」

そんな声と同時に、強引に腕をつかまれた。

さっきの迷子少女・真白だ。

「慌ててたから、さっきはお礼も言えなかったけど…本当に助かったの。部長が行方不明なんて、シャレにならないでしょう?」

まさか部長とは。

僕も同じく部長だったのだが、こんなド天然っぽい子が部長なんてこともあるんだな…と、仲間意識というよりは、呆れるやら感心するやらだった。
< 3 / 27 >

この作品をシェア

pagetop