君と奏でる世界は、虹色に輝いている。
#4
少しずつ夏から秋へ変わり始めた9月。
早くも鈴原さんの新曲リリースとクリスマス・コンサートが決まり、ミーティングが行われることになった。
開始時刻よりも早めに会議室に向かうと、鈴原さんは既に席について真剣な表情でノートを広げていた。
「何してるの?」と声をかけると、鈴原さんは慌てて顔を上げた。
「新曲の詞を考えてるんですけど……」
「ああ、年明けにリリース予定の曲?」
「はい。でも、なかなかいいものが浮かばなくて……」
話している途中でスタッフさん達も部屋に入ってきて、そのままミーティングが始まった。
さっきの雰囲気からすると、鈴原さんはかなり悩んでいた感じがする。
もしかしたら、一度きちんと話を聞いてあげた方がいいかもしれない。
ミーティング終了後、珍しく悩んでいる様子の結音に声をかけて話を聞いたら、彼女もまだデビュー2年目なんだと改めて感じた。
いつも礼儀正しくしっかりとしていて、自分の世界観をしっかり持った歌を歌っているけれど、自分より売れている同年代の子と比べて落ち込むこともあるんだ。