君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

* * *


「お疲れ。今日のイベントはどうだった?」

打ち上げ終了後、マネージャーの一色さんが車で迎えに来てくれた。

一色さんは、今日は別の仕事があってイベントを観ていない。

「あれは、完全に琴吹さんメインだったな。お客さんもほとんど琴吹さんファンだったし」

「やっぱりそうか。まぁ、琴吹さんは今が旬の人気歌姫だからなぁ」

「でも、今日のライブ観る限りでは歌の実力はイマイチだったな。確実に両親と事務所の力だ」

「ああ、もちろんそうだろうね。関係者の間ではワガママ歌姫で有名だし。由弦、あの子には気をつけろよ」

「気をつけるって何を?」

「売れるために色んな手を使ってるって話だし、おまえのこと狙ってるってウワサもある」

だから、やたら「一緒に仕事したい」って言ってたのか。

「心配しなくても、俺は関わる気ないから大丈夫」

そう言って俺は一色さんの言葉を笑いながら軽く流した。

「……だといいけどな」

でも、一色さんはどこか不安そうにつぶやいた。
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