君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

控室の窓から、朝から降り続けている雨が激しさを増しているのが見える。

「いいんですか? ふたりきりになって」

不意に琴吹さんがつぶやいた。

「テレビ局の控室でふたりきりなんて、見つかったらまたニュースで騒がれるかも」

さっきの泣きだしそうな表情から一転、今度は笑っている。

ニュースで騒がれたら困るのは彼女も同じはずなのに、なぜ笑っていられるのか。

何を考えているのかまるでわからない。

「その様子だと、遠坂さんもまだ気づいてないんですね?」

「何に?」

「あの熱愛報道、全部ヤラセだったの」

「……!?」

何か言おうと口を開きかけた時、物音が聞こえた。

反射的に音がした方に視線を向けると…

「……今の話、どういうことですか?」

聞き覚えのある、震えた声。

控室のドアの前に、結音が立っていた。

「あ~あ。鈴原さんも聞いてたんだ」

開き直ったように、琴吹さんが言った。

結音にも控室に入ってもらって琴吹さんにきちんと説明するように言うと、
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