君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

「あの子は繊細そうに見えるけど、芯が強いよ。しっかりとした信念を持って生きてる。だから、きっと由弦の過去もすべて受け止めてくれるはずだ」

一色さんが何を言いたいのか、わかった。

この半年、一緒に音楽活動をして見えた彼女の人柄や生き方。

それは、全てを打ち明けても変わることはないはずだから。

だから、全てを話してきちんと向き合ってほしいと、そう言いたいのだろう。

「それでも、おまえが音楽活動を休止したいって言うなら、俺はもう止めないよ」

そう言って、一色さんは少し寂しそうな表情で笑った。

琴吹さんから、全ての事情を聞いたあと。

俺は、マネージャーである一色さんにも全てを話した。

そして、ある決断をした。

“年内で音楽活動を休止する”。

琴吹さん側のヤラセだったとはいえ、自分の行動で世間を騒がせ、関係者に迷惑をかけてしまった。

そして、結音を巻き込んでしまった。

今までがむしゃらに音楽活動だけは続けてきたけれど、もう一度自分を見つめ直すためにも、少し時間がほしいと思った。
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