君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

#6


「由弦、これ落ちてたぞ」

マネージャーの一色さんからそう言われて差し出されたのは、1枚の写真。

聞かなくても、何かすぐにわかる。

夏音の高校時代の写真だ。

いつのまに落としていたんだろう。

「ありがとうございます」

お礼を言って受け取ると、スケジュール手帳の中に挟んで、鞄の中に入れた。

もしかしたら昨日、ミーティングで手帳を広げた時に落としたのかもしれない。

「なぁ、由弦。今もおまえは、夏音ちゃんのことしか好きになれないか?」

突然の核心をついた質問に思わず顔を上げると、一色さんが真剣な表情で言葉を続けた。

「本当は気づいてるだろ? もう、お前の中で夏音ちゃんの存在は過去になってること。そして、今そばにいたいと思っている人がいること」

「………」

そう、本当は気づいてる。

初めて出会ったあの日から、少しずつ変わり始めた気持ちに。

でも、ずっと気づかないふりをしてた。

踏み出すのが怖くて。

俺は、夏音以外好きになってはいけないと、自分で自分の心を縛り付けていた。
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