君と奏でる世界は、虹色に輝いている。
#3
イベント当日は朝から綺麗な青空が広がっていた。
会場はテレビ局の敷地内にある特設野外ステージで、今日は私を含め5組のアーティストが出演する。
中でも一番注目を集めているのが、今大人気の歌姫である琴吹さんだ。
今日集まっているお客さん達は、ほとんどが琴吹さんのファンらしい。
私の出番はトリを務める琴吹さんの前。
「鈴原さん、スタンバイお願いします」
スタッフから声がかかった。
「……はい」
琴吹さん目当てのお客さんに、私は受け入れてもらえるのかな……。
さっきまでの会場の様子を見る限り、かなり厳しい気がする。
そう考えると、途端に緊張とプレッシャーが襲ってきて、足が竦む。
「大丈夫だよ。鈴原さんは鈴原さんらしく歌えばいい」
隣にいた遠坂さんが、私の気持ちを察したようにそんな言葉をかけてくれた。
「そうですよね。ありがとうございます」
こんな風にさりげなく緊張を和らげてくれるところ、さすがだなと思う。