君と奏でる世界は、虹色に輝いている。
「やっぱり琴吹さん、遠坂さんのところに行ってる。イケメンミュージシャンで有名だから狙ってるってウワサ、本当だったのかも」
「……え?」
そんなウワサが広まってるの?
「琴吹さんって、売れるためには手段を選ばない子らしいから」
その言葉の意味を、この時の私はまだわかっていなかったんだ。
イベント翌日は、予想通り芸能ニュースで取り上げられ、話題になった。
だけどライブの映像はほとんど琴吹さんのもので、私も含め他の出演者の映像はほんの数秒しか流れず、メディアでは完全に琴吹さんメインの扱いだった。
「やっぱり今は愛歌ちゃんの時代だよね」
篠崎さんが、残念そうに呟いていた。
それは実際にイベントに出演してよくわかった。
私は世間一般では人気も知名度もまだまだなんだなって。
私は琴吹さんみたいにはなれないって。