君と奏でる世界は、虹色に輝いている。
#4
イベントから1週間後。
私は今後の活動ミーティングのため事務所の会議室へ向かった。
部屋に入ると、すでにマネージャーの篠崎さんが席に着いて待っていた。
「結音ちゃんの次のシングルの発売が決まったよ」
「え、もう?」
「『虹色の歌』が関係者の間でも評判良くて、新作を期待してる声が多いの。年明けリリース予定だけど、今回は条件があるのよ」
「……条件?」
条件ってなんだろう?
その時、ドアをノックする音が聞こえて、レコーディングスタッフと社長が入って来た。
社長がミーティングに出席するなんて、また何か大きな話?
「篠崎さん、新曲リリースの条件についてはもう話したかな?」
「いえ。今ちょうど話そうとしたところです」
「そうか。じゃあ、私から話そう」
社長は席に着くと、私に視線を向けて言った。
「次のシングルは、ラブソングを書いてほしいんだ」
「ラブソング?」
「そう。ぜひチャレンジしてみてほしい」
いきなりそんなこと言われても……。