君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

#4


イベントから1週間後。

私は今後の活動ミーティングのため事務所の会議室へ向かった。

部屋に入ると、すでにマネージャーの篠崎さんが席に着いて待っていた。

「結音ちゃんの次のシングルの発売が決まったよ」

「え、もう?」

「『虹色の歌』が関係者の間でも評判良くて、新作を期待してる声が多いの。年明けリリース予定だけど、今回は条件があるのよ」

「……条件?」

条件ってなんだろう?

その時、ドアをノックする音が聞こえて、レコーディングスタッフと社長が入って来た。

社長がミーティングに出席するなんて、また何か大きな話?

「篠崎さん、新曲リリースの条件についてはもう話したかな?」

「いえ。今ちょうど話そうとしたところです」

「そうか。じゃあ、私から話そう」

社長は席に着くと、私に視線を向けて言った。

「次のシングルは、ラブソングを書いてほしいんだ」

「ラブソング?」

「そう。ぜひチャレンジしてみてほしい」

いきなりそんなこと言われても……。
< 32 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop