君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

突然知った色々なことに衝撃が大きくて何も言えずにいると、

「結音、大丈夫?」

由弦さんがためらいがちに声をかけてくれた。

無言で頷くと、琴吹さんがゆっくりとこちらに向かって歩いてきた。

「言っておくけど、鈴原さんの本当のライバルは私じゃないからね」

そして私にだけ聞こえるように耳元でそう囁くと、控室を出て行った。

「……?」

“本当のライバル”ってどういうこと?

「結音、帰ろう」

由弦さんに声をかけられて、お互いそのままテレビ局を出て帰路に着いた。

でも、私は琴吹さんが口にした言葉がずっと頭から離れずにいた。
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