君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

「超人気アーティストを両親に持つ歌姫が満を持してデビュー!」と大々的に謳われた琴吹さんは、4年前当時16歳のデビュー時からずっとランキング上位を獲得している。

それは親の七光だとか大手事務所の強力プッシュのおかげだと言われているけれど、たとえそうだとしても、これだけ多くの人に知られて楽曲がヒットしていることは同じ歌手として純粋に羨ましいし、凄いことだと思う。

いつか私もランキングトップになりたい。

そう心に強く願って、私は歩き出した。


* * *


「結音ちゃん、大ニュース!」

マネージャーの篠崎さんが、事務所の会議室に入るなり勢いこんでそう言った。

「どうしたんですか?」

「新曲が大手企業のCMに起用されるの!」

あまりの勢いに困惑しながら尋ねると、興奮気味に声を弾ませた答えが返って来た。

「ホントですか!?」

「ホントよ。今日はそのCMについてもミーティングするって……」

篠崎さんがそう言いかけたところでドアをノックする音が聞こえた。
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