君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

そして、私が所属する音楽事務所・リトル・ウィングスの社長と見知らぬスーツ姿の男性が入ってきた。

「紹介しよう。シャインミュージックの佐伯さんだ」

「初めまして。シャインミュージック 商品宣伝部の佐伯と申します」

社長のあとに続いてそう言いながら、佐伯さんが名刺を差し出した。

名刺には【商品宣伝部 部長】と書かれている。

シャインミュージックと言えば、日本で知らない人はいない超有名大手レコード会社だ。

もしかして、さっき篠崎さんが言っていた大手企業のCMって、シャインミュージックのCMってこと?

「この度、弊社が提供する音楽アプリのCMソングに鈴原さんの曲を起用させて頂くことになりました」

佐伯さんが笑顔でそう言った。

音楽アプリのCMソング? 突然すぎて思考がついていかない。

「実は佐伯さんがこの前のミュージック・オーディションで放送された結音ちゃんの歌を聴いてとても感動したそうなんだ。ぜひもっと多くの人に君の歌を聴いてほしいということで決めてくれたんだよ」

社長が経緯を説明してくれて、やっと少しずつ状況が呑み込めてきた。
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