君と奏でる世界は、虹色に輝いている。
制服を着ているから、中学生か高校生かな?
顔立ちや雰囲気が、なんとなく私に似ている。
髪は肩に少しかかるくらいの長さだけど、私がもう少し髪を短くしたら、こんな感じになるかもしれない。
写真の裏を見ると、綺麗な字で筆記体の文字が書かれていた。
“Kanon mizusawa”――カノン・ミズサワ?
もしかして、写真の女の子の名前?
しかも“カノン”ってどこかで聞いたことがあるような気がする。
どこで聞いたんだろう。
少し考えて、ふっと記憶が甦った。
イベントのリハーサルの時、休憩中に眠ってしまった由弦さんが口にしていた名前だ。
ということは、もしかしてこの写真は由弦さんが落としたもの?
でも、由弦さんの口から、カノンさんの話を聞いたことは一度もない。
カノンさんって…一体誰なんだろう?
* * *
翌日、カノンさんのことが頭から離れないまま、私はまた事務所へ向かっていた。
今日もコンサートスタッフとクリスマス・コンサートのミーティングだ。
開始時間より早く事務所に着いて飲み物を買おうと休憩室へ入ると、意外な人が中にいた。