君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

#8


「はい、最終リハーサル終了です」

その言葉が聞こえた瞬間、一気に全身の力が抜けたような気がした。

「お疲れ様でした」

スタッフが言ったその言葉に、周りから自然と拍手が起きた。

クリスマス・コンサートの最終リハーサルが無事終了した。

「本番も結音ちゃんの歌楽しみにしてるわね」

リハーサルスタジオから出ると、篠崎さんが笑顔でそう言ってくれた。

「お疲れ様。今日の歌もすごく良かったよ」

そして、篠崎さんのあとに続いてそう言ってくれたのは…由弦さん。

「結音、このあと予定ある?」

「えっと、篠崎さんと軽くお茶しようかなって……」

由弦さんに訊かれて、戸惑いながらそう答えると、

「すみませんけど別の日にしてもらって、このあと結音借りていいですか?」

私の言葉が終わらないうちに、由弦さんが篠崎さんに言った。

「私達の大事な歌姫に手を出さないって約束してくれるならいいわよ」

「わかってますって」

ちょっと、ふたりしてなんて会話をしてるの……!?
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