君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

わけがわからずにいると、

「結音と一緒に行きたいところがあるんだ」

由弦さんが言った。

私と一緒に行きたいところ?

心当たりがなくて不思議に思いながら由弦さんのあとについていくと、リハーサルスタジオの駐車場に出て、そのまま停めてある車に乗り込んだ。

一体どこに行くつもりなの?

「あの、どこに行くんですか……?」

私が尋ねても、

「着いたらわかるよ」

由弦さんはそう言ってすぐには行き先を教えてくれなかった。

車は郊外へ向かっているらしく、窓の外はオフィス街や高層ビルから緑の多い景色へと変わっていく。

「―ここだよ」

スタジオを出て30分程経った頃、由弦さんがそう言って車を停めた。

目の前には“霊園”の看板。

霊園って、もしかして……。

「夏音が眠っている場所だよ」

由弦さんが静かに言った。

つまり、この霊園に夏音さんのお墓があるということ。

「今日は、夏音の月命日なんだ」

「月命日?」
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