君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

「そう。だから、結音にも夏音に会ってほしいと思って」

「……わかりました」

ちょっと緊張しながら、夏音さんのお墓へ向かう。

お墓の前に着くと、由弦さんとふたりでお花とお線香を供えた。

冬の澄んだ青空に、白い煙が吸い込まれていく。

17歳という若さで断たれた命。

幸せな毎日を、人生を、ある日突然失ったら…―。

想像するだけで胸が苦しくなる。

「俺、夏音が亡くなってつくづく思うんだ。誰にも明日が来る保証なんてないって。今自分が生きているのは偶然で…奇跡なんだって」

不意に由弦さんが言ったその言葉は、今まさに私も思っていたことだ。

いつか死が訪れることはみんなわかっているけれど、それはずっと遠いことのように錯覚してしまっている。

でも本当は、“死”ってすごく遠いようで、限りなく身近にあるものなんだ。

明日が来ることは、決して当たり前のことなんかじゃない。

私が今ここにいることは、明日を迎えられることは、きっとたくさんの偶然が重なり合った奇跡。

だからこそ、毎日を大切に生きていかなければいけないんだ。

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