君と奏でる世界は、虹色に輝いている。
「あ、目が覚めました?」
不意にそんな言葉が聞こえて慌てて視線を向けると、キーボードの前に鈴原さんが座っていた。
「ごめん、もしかして俺かなり寝てた?」
「ほんの15分くらいですよ。遠坂さんもハードスケジュールでお疲れですよね」
「いや、ホントごめん。……これ、鈴原さんが持ってきてくれたの?」
いくら休憩時間とはいえ、仕事中にうたた寝してしまったうえに、夢まで見てたなんて恥ずかしい。
そんな気恥ずかしさをごまかすように、俺は床に落ちたブランケットを拾って尋ねた。
「あ、はい」
「そっか。ありがとう」
「どういたしまして。でも、なんか親近感わいちゃいました」
「え?」
「遠坂さんって、いつもクールに仕事こなしてる感じだから。眠くなって寝ちゃうこともあるんだなって思って」
「そりゃあ、俺も人間ですから」
「あはは。そうですよね」
そう言ってふたりで思わず顔を見合わせて笑い合った。
一瞬にして和やかな空気が漂う。
「じゃあ、明日に向けてもうひと頑張りしようか」
「はい!」
俺の言葉に鈴原さんが笑顔で頷いて、リハーサルが再開された。