【番外編】もしも願いが叶うなら… ー星空の下、キミとの約束。
好きだとか、付き合いたいとか、そういう明確な感情ではなかった。

だけど、間違いなく大切な存在だった奏。


やっと見つけた、ありのままの自分でいられる人。

お兄ちゃんとお姉ちゃんを失った悲しみをきっと癒してくれる、そう確信していたのに。


それなのに、また…いなくなるの…?


突然、突きつけらた残酷な現実だった。

こんなにもすぐいなくなるのなら、それなら出会いたくなかった。


そんな悲観的な感情に支配され、私はただお水を握りしめて立っていた。


「鈴?大丈夫だよ。」


私の雰囲気を察した奏の優しい言葉が聞こえたけど、その言葉もなんだか遠くに感じた。


「やっと、やっと前に進めそうだったのに」


また一人になってしまう。

私は、真っ暗な心に埋め尽くされていた。
< 31 / 40 >

この作品をシェア

pagetop