クールな御曹司の溺愛は初恋妻限定~愛が溢れたのは君のせい~
1,私の婚約者
「それ、なんの本?」
 親に連れていかれたある野点の会で、八歳くらいの綺麗な茶髪の男の子が分厚い本を黙々と読んでいる。大人のようにスーツをスマートに着こなしていて、まだ子供なのに上品さを感じさせた。
 六歳の私にとって野点というのは、苦いお茶を飲むだけのただただ退屈な集まり。大人ばかりでつまらないと思っていたところ、庭園の端の長椅子に座っている彼を見つけたのだ。
 ようやく同じ子供に出会えたのが嬉しくて話しかけると、男の子は本を見つめたままボソッと答える。
「車のエンジンについて書かれた本」
 本を見たけれど、文字がいっぱいだし、難解な図があって、なにが書いてあるのかさっぱりわからない。
「ふーん、漢字もいっぱいあって難しそうだね。将来は車を作る人になるの?」
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