クールな御曹司の溺愛は初恋妻限定~愛が溢れたのは君のせい~
 きっとアメリカでもっとやりたいことはあっただろう。こんな形で帰国させられて、彼も不本意に違いない。
 しばらく車に乗っていると、目黒の閑静な住宅街にある五階建ての低層マンションに着いた。
 車を降りた有栖川さんと私に、中西さんがマンションを見やって言う。
「ここが会長が用意した新居だ。俺は一階に住むから」
「監視役ってことか」
 不機嫌そうな顔で有栖川さんがつっこんだら、中西さんはあっさり認めた。
「手っ取り早く言えば、そうだな」
 三人でマンションに入り、エレベーターで四階に上がる。
 部屋に入ると、新築の匂いがした。メゾネットタイプで、間取りは6LDK。屋上には広いテラスがある。
 家具や家電もそろっていて、キッチンには食材も用意されていた。
 玄関に一番近い部屋に見覚えのあるスーツケースが置いてあると思ったら、それは私のもので、中を開けたら服や化粧品が入っていた。
 恐らく母がおじいさまに言われて、慌てて準備したのだろう。式を急遽挙げることになったのも、おじいさまの気まぐれに違いない。
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