【完結】大人女子✕年下男子!あなたがだいすきです!可愛い年下わんこ君との恋人7日間契約

「よし! 今日も頑張りましょう!」

 制服に着替え、オフィスに一歩出れば仕事用・利佳子ブレインはフル回転!
 今日も先輩社員に恐れられても、後輩社員に怖がられても、仕事は的確!

「今日はもう、帰っていいわ。後は私がやるから。お疲れ様、帰り道気をつけて」

 真面目で厳しい。
 近寄りがたい……でも本当は優しい人なのだ。
 帰り際には、皆がそう思うのを利佳子は知らない。

 利佳子も残業を終えて急いで帰宅したが、それよりも隆太朗の帰りは遅かった。
 それでも玄関を開けるとニコニコ顔で立っている。
 自転車で飛ばしてきたのか、頬が赤い。

「わざわざ、来てくれたのね」

「わざわざじゃないよ。今日ちょっと指導が厳しくて凹んだから、利佳子の顔見れて良かった。これお土産」

 透明なケースに入れられた、色とりどりのマカロンを渡された。

「ありがとう……大丈夫? 珈琲でも……飲んでいく? 利紀はいないんだけど……」

 ぴこぴこと尻尾が見えるような嬉しそうな顔になる。

「トシいないの? じゃあ二人っきり!? って喜ぶ俺って酷いね」
 
 あははと笑う素直な言葉に、利佳子も笑ってしまった。

「じゃあ20分くらいお邪魔します。夜遅くにごめんなさい」

 何度も遊びに来ているリビング。
 でもこんな状況はもちろん初めて。

 珈琲を淹れようと台所に立つと、後ろから抱き締められる。

「あっ……」

「ごめん……駄目だった?」

 すごく年下なのに、彼の腕にすっぽり収まってしまう。
 胸がキュンとしてしまう。
 違う、違うと思いながら珈琲を求めていた手は上下にパタパタ揺れただけ。
 
「だ、駄目……じゃない……のだけれど、私もあまり慣れていない……というか……あの……」

 慣れてる年上ぶろうとしても、どうしてもうまくいかない。
 やはり隆太朗に抱き締められると、利佳子ブレインはブレブレで機能低下してしまう。
 それならば、経験がないと言った方がまだいいだろう……との苦肉の策だ。

「俺だって……全部初めてだよ。……だからめちゃくちゃ嬉しいです……だからいっぱいしたくなる……自制利かなくてごめんね……でもあったかくて嬉しい……」

「……うん……」

 耳元の声がくすぐったい。
 温かい体温が伝わると、心の芯がホッとするような感覚……。
 
「……あのさ、利佳子……」
 
「ん?」

「俺……だから昨日のキスが初めてだったんですけど……」

 隆太朗が話すたびに息が耳元にかかる。

「あ、そ、そう」

 自分なんかは何年ぶり?
 
「下手じゃなかった……?」

「えっ」

「いや、あの……それと……無理やりだったかな……とか」

「だ、大丈夫」

「良かった……」
< 21 / 39 >

この作品をシェア

pagetop