【完結】大人女子✕年下男子!あなたがだいすきです!可愛い年下わんこ君との恋人7日間契約

火曜日・二人の未来

 
 仕事終わり、駅前。
 どれだけ繰り返してきたか、なのに今日は違う。

「利佳子~~っ!」

「りゅう」

 利佳子を見つけると走ってくる隆太朗。
 大型犬がわふわふ走ってくる様子のようだ。
 抱き締められる勢いで、間近で止まる。
 
「お疲れ様ーーー!」

「貴方もお疲れ様。お迎えありがとう。……道は覚えてるんだから、家で待っててくれて良かったのよ」

「1秒も無駄にしたくないもん」

 ぎゅっと手を握られる。
 そして離してもらえない……。

「えへへ」

 ニコニコ笑顔で見つめられて、利佳子は頬が熱くなるのを自覚して下を向いた。

「あっ重いのよ」

「いいから」

 自然に利佳子のお泊りの荷物を隆太朗は持って、手を繋いで歩きだす。

 ちらほらと行き交う人が隆太朗を見て何か話をしている。
 女の子二人が指をさしてヒソヒソ話す。

「ねぇ、何か見られてる……?」

「あ、さっきテレビ見たって言われた」

「ええ! 有名人じゃない! じゃあ早く離れた方がいいわ」

「やーだっ! 俺は有名人なんかじゃないし、絶対離さないよ」

「りゅう……」

「だって……そんな事で離すことないもん。今日は特別な日だし……今から、いっぱいいちゃつきます!」

「な、なんの宣言なの」

「イチャイチャ宣言!」

 また耳をパタパタさせるような笑顔。
 誰でも可愛いと思う笑顔だ。
 そう、今日はゆっくり二人で過ごせる特別な日。
 
 そして、最後の日。

 でもそれは顔には出さず、利佳子は笑顔で手を繋いで歩いた。

 温かい部屋に入ると、すでに用意がしてあった。
 テーブルの上の鍋……これは。

「まぁ、すき焼きね」

「また、お肉でごめんね」

「お肉大好きよ。すき焼きが一番好きだし、ビーフシチューも……あ」

「えへへ知ってた」

 モリモリ働くためには肉が一番!
 なんて、隆太朗の前でも話した事があった。
 
「……自分だって、私の好きなもの覚えててくれてるじゃない……」

「当然だよ。好きな女の子のことだもん」

 照れたように、でもダイレクトに伝わる好意。
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