【完結】大人女子✕年下男子!あなたがだいすきです!可愛い年下わんこ君との恋人7日間契約
「いやね、私は女の子じゃ……」
「俺には女の子だよ~」
恥ずかしさで、聞こえないふりをした。
「こ、こんな豪華なご飯……あ、ありがとう! ……あのこれ、どうぞ」
持ってきた荷物からラッピングされたハーフボトルワインを二本出す。
赤と白の両方を持ってきた。
「あ、ワイン! ありがとう嬉しい」
「すき焼きにも合うと思うわ。両方買ってきたけど良かった」
「ありがとー! ……今日も俺の部屋着、着る?」
「あの、今日は持ってきたから大丈夫」
「わ! それも楽しみ……今のワンピも可愛いけど、着替える?」
「そ、そうね。着替えてきます」
「じゃあ俺は準備してるねー!」
部屋着は、新しく買ったものだ。
今までも部屋着で隆太朗を出迎えていたのに、今回は色々考えて買ってしまった。
「わー可愛いね」
「ただの部屋着よ」
いつもはグレーや黒を選ぶが、今回は少し綺麗な色にした。
とは言ってもくすみ系の紫色のワンピースにズボンのセット。
髪の毛はほどいて、シュシュでまとめた。
「全部可愛い……」
へらっと笑う隆太朗の方が可愛いと利佳子は思う。
全部がくすぐったい。
また作動がストップしていた利佳子ブレインを作動させた。
「手伝うわ!」
「うん、でも大丈夫だよ~! 準備万端だから」
準備万端で、あとは肉を焼くだけだ。
そういえば、家でも利紀と三人ですき焼きした事もあったなと思う。
今は二人きり……ワインで乾杯をした。
「すごくいいお肉ね」
霜降り肉を、卓上コンロの上のすき焼き鍋に綺麗に並べる。
まずはメインのお肉からだ。
「実家の近くに、いい肉屋さんがあるんだよね」
『こんないいお肉、大丈夫? お金を払うわ』と何度も言いかけては飲み込む。
でも夕飯代だから折半した方がいい?
どうやってお返ししようか? とグルグル回る。
「あ、質のいい肉を安く売ってる店なんだよー~気にしないで食べてね」
「……あ、うん……」
気にしているのがバレてしまった。
「俺もずーっと色々ごちそうになってきたんだもん。こんなお返しじゃ全然足りないよ」
「そんな……こっちこそ、何もごちそうなんかしていないわ」
「いや~お邪魔したら、いつもいっぱい食べさせてもらってたよ」
「私がいた時だけでしょ~。それにいつもお返ししてくれてたわ! なんてしっかりしてる子なのかしらって思ってた」
あっ……と思ったが、隆太朗は微笑んでいる。
「今は……しっかりしてる『男』になった?」
「……そうね。あぁ~ほら美味しい肉が煮過ぎちゃダメよ!」
「わわ! 食べよ食べよ!」
ドキッとして話を逸した。
それから二人で、美味しいすき焼きを楽しむ。
食事をしながら、仕事の話もした。
「そっかぁ……じゃあ~その先輩は、俺の事嫌いなわけじゃないのかな」
「言われて傷つく気持ちもわかるわ。でも期待しているからこそ……意見してくれたんじゃないかしら」
「うん、そうだよね。そう思うようにしてたんだけどさ。自分だけじゃ飲み込めない部分もあって……利佳子に言われて、やっぱそうだって思えたよ」
「そういう時は、いくらでも愚痴って吐き出すのが一番よね……でもパティシエの仕事は私の仕事と違って……師弟関係のような部分もあるだろうし、わかってあげられない部分も多いと思うから……」
「そんなことないよ。それに同業者だと逆になんか言えないって時もあるだろうしさ」
「確かにそうね、わかるわ」
「利佳子は最近どう?」
「私は……ええとね」
「うんうん」
今まで似たような仕事をしている男性と付き合ってきて、結局は『お前は仕事ができるから、わからない』『偉そうに』など言われて仕事の話はタブーだと思っていたが……隆太朗とは違いすぎるからなのか、お互いを尊重しあえる会話ができている……と利佳子は思った。
彼と、こんな関係を築けるだなんて……。