❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない
でも今は違う。

健吾と身体を重ねて、いっぱい愛を注いでくれて、東條からも救い出してくれた。

この人なら信じられるって思えた。

借金返済の人生からも救い出してくれた。

今度は自分が健吾を支える番だと感じた。

そのためにも病気のことをはっきりさせなくては思ったのだ。

由梨は婚姻届にサインした。

「よし、これを提出して、病院へ殴り込みだ」

「健吾さんったら、違いますよ、先生の話を聞きに行くんです」

「そうか」

「健吾さん、真実を話すと誓ってください」

「わかった、でも、由梨のところに死神が迎えに来たら、俺が追い払ってやるから安心しろ」

「そうですね」

「一つ言っておく、俺の命もいつどうなるかわからねえ、俺の生きてる世界はそう言うところだ、だから覚悟だけはしておいてくれ」

由梨はすっかり忘れていた。

健吾は極道の世界の人間だ。

(健吾さんは、いつ、命を落とすかわからない、死と隣り合わせで生きてるんだ)

自分はなんて甘いんだと反省した。
< 72 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop