監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 財前先輩にもずうずうしく絡む108番を注意して、私も部屋を出る。

 私がまえ、財前先輩がうしろ、と108番をはさんで独居房まで連れていくあいだも、彼はうるさかった。




「藤枝。ちょうばつ房へ」


「わかりました」


「おいおい、いきなりケジメ部屋か?つれねぇこと言うなよ」


「私語はつつしみなさいと、何度も注意しました」


「まったく…たいした看守サマどもだな」




 ため息まじりに軽口をたたく108番をちょうばつ房に入れたあと、私たちは教室棟へもどる。

 今日は月曜日。

 私たち特進クラスは、授業日だ。


 監獄学園には、2種類の生徒がいる。

 刑務官をこころざすGebot(ゲボート)科の生徒。

 そして、受刑者としてこの学園に来たVerbrechen(フェアブレッヒェン)科の生徒。
< 10 / 289 >

この作品をシェア

pagetop