監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
 Gebot(ゲボート)科では基本、刑務官の初期階級、“看守”となった2年から、Verbrechen(フェアブレッヒェン)の看守業務にあたる。

 ふつうの学校ふうに言うと、実習ってところかな。

 この実習にはまるまる1日を使うから、Gebot(ゲボート)生は授業日と実習日を交互に繰り返すんだ。




「日本一の暴力団組織、赤城(あかぎ)会会長の孫…か。矯正には骨が折れそうだな」


「はい。私がふがいないばかりに…もうしわけありません」




 最初が肝心なのに、ずっとあなどられていた気がする。

 出迎えたのが財前先輩なら、もうすこしちがったのかな。


 うつむいて階段を(のぼ)っていると、「気負うな」と声がした。




「藤枝なら1人でも大丈夫だと判断したのは俺だ。108番が想定以上だっただけで、どう対処するかは全体の問題…藤枝1人の責任じゃない」


「財前先輩…はい!」
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