監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
****
大門(だいもん)雷牙(らいが)視点―


 雑居房のなかで、明かりが消された天井を見ながら昼間のことを思い返す。




『ち、ちがう!私は雷牙のことっ、好きなんかじゃない!』




 あのときは、だまされたフリをしたが…まさか、とっくに景依が落ちてたなんてな…。

 キスしたときの顔は、“キス”に対するうぶな反応だと思って気にしてなかったが…そうでもなかったらしい。

 あの真っ赤な顔を思い返すと、自然と口角が上がる。




『私には許されない相手なのっ』


『だから、私が雷牙を好きになることはぜったいにない!』


「…」




 必死に取りつくろおうとするようすも、かわいかったが。

 …まじめちゃんに、“禁断の恋”なんてむりなはなしだよな。




『援助を断るというなら――』


『――いいな』




 いまになって、じいさんの指示を思い出し…計画を思いつく。

 景依を手に入れるためには、家の協力を取りつけねぇといけねぇし…。

 ごきげんとりも兼ねて、じいさんのたのみ、聞いてやるか。


 …待ってろよ、景依。

 俺のことが好きだって、どうどうと言えるようにしてやるからな。



< 151 / 289 >

この作品をシェア

pagetop