監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
ようこそ、監獄学園へ

大罪人・No.108





「すまない、所用が入った。例の人物は藤枝(ふじえだ)1人で迎えてくれ」


「わかりました」




 敬礼をして会長を送り出し、制服のえりを整えながら、正面玄関へ向かう。


 2年に進級したばかりの私、藤枝(ふじえだ)景依(けい)が通うこの学校は、すこし…ううん、かなり“ふつう”とはちがっていた。

 名前を、乃沢(のざわ)学園。

 東北地方の山中にある。


 表の顔は、“看守”でおなじみの、刑務官を育てる高校で。

 裏の顔は、日本で7つめの、16歳~19歳の受刑者が入る少年刑務所。

 そんな特殊な学校だから、みんなには監獄学園なんて言われている。




「お疲れさまです。まもなく到着するとのことです」


「お疲れさまです。わかりました。…それから、先輩は上官なんですから、私に敬語は使わなくていいですよ」
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