監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
『いいや、俺の勝ちだ…っ。テツの仲間は全滅させてやっただろ…!』


『俺がまだ立ってるから、俺の勝ちなんだよ…!』


『俺だってたおれちゃいねぇし…っ。…こうなったら、おたがい、次の一発で決めようぜ…!』


『よっしゃ、やってやる…!』




 あの勝負は、おたがい同時に一発入れると見せかけて、俺がテツのパンチをかわしてから足払いをしたんだよな。

 んで、たおれたテツにチャカを突きつけてやって、俺の勝ちになった。

 俺がふだん持ち歩いてるチャカはただの見せかけって知ってるテツは、文句を言ったが。


 “今日は実弾入りだ”って口八丁で丸めこんで、負けを認めさせたんだっけな。


 遠い過去じゃねぇってのに、なつかしいぜ。



 情けねぇな、思い出に浸るくせができちまった。

 …おまえとバカやってたころは、本当に楽しかったよ。

 せいぜい、俺がここで長生きしないことを祈っておいてくれ。



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