監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
「藤枝。罪を反省することは必要だが、不必要な自責をすることはほめられた行為ではない。藤枝は、不利な状況下でも徹底的に抗ったのだろう?」




 目を伏せて、財前先輩は「誇るべき生徒だ」とむしろ私をほめてくれる。

 私は唇を引き結んで、湧き上がる感情を制御してから、頭を下げた。




「ありがとうございます」






****


 10月11日。

 私は正面玄関で深呼吸をして、扉を開ける。

 夏のよいんがながく残って、気温がたかいなか、手錠をつけた1人の男が開いた扉の先に立っていた。




「よ、景依(けい)。ただいま」


「ここは帰ってくるべきところではありません。そんなあいさつは不要です」


「ははっ、まぁいいじゃん。実際帰ってきたんだし」
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