監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 警官に手錠を外されながら、燃えるような赤い髪の男はへらりと笑う。

 私はため息をついて、雷牙を刑務所棟に連れていった。




「加重逃走罪だっけ?脱獄の罪って重いのな、懲役3年だってよ」


「あたりまえでしょう、脱獄は犯罪なんですから。それにあなたは、Verbrechen(フェアブレッヒェン)を引き連れて逃げたんです」




 加重逃走罪は、2人以上の人間が一緒に脱獄したときに科される罪。

 ただの逃走罪より、刑罰は重くなる。




「なんとかなると思ったんだけどなぁ」


「罪には罰を、当然の報いです。反省しなさい」


「へぇへぇ。そういえば、今日もお坊ちゃんはおくれて来るのか?」


「あなたの迎えを担当するのは私1人です。財前先輩は来ません」




 それが副会長の仕事。

 監獄学園から脱獄した大罪人を任せられるのは、私か財前先輩くらいだから。
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