監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「好きになっちゃったものは、しかたないもんねっ。応援してるよ!」


「えっ、兎杏…!」


「それから、これからはなんでもはなして。景依ちゃんがいないと、わたし、この学園でやっていける気がしないもん」




 へにゃりと眉を下げて笑う顔を見て、ぐっと唇を引き結んだ。

 兎杏は一緒に退学になる覚悟、してくれたんだ…。


 …私の親友を退学させるわけにはいかない。

 雷牙が好きなこと、ぜったい周りにはバレちゃいけないし、もしそのときが来ても兎杏だけは守らなきゃ…!




「ありがとう、兎杏。だい好きだよ」


「わたしもだい好き。…それじゃあ、仕事にもどらないと。じゃあね、景依ちゃん」


「うん。がんばって」




 手をふって、兎杏を送り出す。


 …ほんとに、雷牙ってばか。

 雷牙が一般人だったら、こんなに悩まなくてすんだのに。



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