監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「その体をぜんぶ、俺のものにしたい。1を求めたら10を返して、俺のことしか考えられないようにしてやる」




 鼻の頭がふれ合うほどの距離で、雷牙は私を見つめ続けた。

 ドキンドキンと、心臓がうるさく鳴っている。




「…どうだ、景依。俺の目には拒否なんてできないように見えるぜ。…なぁ、俺と付き合えよ」




 本能を掌握するあの声じゃないのに、私の頭のなかに、ノーという選択肢は浮かばなかった。




「…うん…」




 イェスと答えると、雷牙との距離はゼロになる。

 体が熱くて熱くて、脳がとろけてしまいそうだった。




「…やっぱり、その顔最高。もっととろけろ」


「え、」




 顔を離した雷牙は、ふたたび私の口をふさぐ。

 何度も何度もキスをする雷牙の胸を、私はあわてて押し返した。
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