監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「ま、待ってっ、まだダメ!付き合うのは雷牙が出所したあとだからっ」


「俺は“出所したあとに”なんて言ってないぜ?付き合うのはいまから」


「はぁっ?そ、それじゃ付き合わないっ!」


「却下、訂正は受け付けない」


「この詐欺師っ、看守と受刑者が付き合えるわけないでしょ!」




 顔に熱を残したまま雷牙をにらめば、雷牙はへらりと笑って私の頬をなでる。




「周りにはかくせばいいだろ?景依がこうやってすぐまっかになっても、俺がごまかすからへいき」


「なっ…!」


「まぁ、“この”顔は他のやつに見せねぇけどな。俺の特権」




 雷牙はにやりと、目を細めて笑う。


 無期懲役の大罪人じゃなくなっても、赤城会の身内じゃなくなっても、詐欺師な性格は変わらないようで。

 こんな男を好きになってしまった以上、わたしはこれからもずっと、雷牙にだまされ続けなきゃいけないらしい…。



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