監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
 すこし離れた雷牙に、やった!とよろこぶと、後頭部を抱き寄せられてそのすきまを埋められる。

 私は雷牙の胸を叩いて抵抗を続けたけど、けっきょく雷牙が自分から離れるまで止めることはできなくて。




「っ、はぁ…」




 たまった熱を逃がせることにほっとしていると、見つめられるだけでやけどするんじゃないかって思うような目をした雷牙と一瞬視線が交わった。

 その瞬間、脳のどこかが警鐘を鳴らして、とっさに雷牙の頭を胸元に抱きかかえ、うごけなくする。




「わかった!もうわかったから、おわりっ!雷牙は私のこと好きだって信じる!」


「…はぁ」




 熱い吐息が吐き出されて、びくりとふるえると、雷牙は私をぎゅうっと抱きしめて、ゆるんだ腕から頭を起こした。




「逆効果なことされてがまんしてやった俺をほめろ」


「はぁっ?」
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