監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 と、むじゃきに笑った。

 私はそれを無視して、「拘束!」とGebot(ゲボート)生に指示を出す。

 とたんに、大人しくなった72番と、逃げ回っていたVerbrechen(フェアブレッヒェン)生は両腕をうしろで拘束された。


 ちいさくため息をついて、私は72番に近づく。




「72番、怒りは暴力で発散してはいけないと言ったでしょう!不当なあつかいにあったのなら言葉で抗議しなさい」


「ごめんなさい…カッとなって…」


「武器を使うのは言語道断です。木材でなぐれば、人は最悪死にます。わかっていますか?」


「せんせー、“ごんごどうだん”ってなに?」


「とんでもない、もってのほか、ありえない!そういった意味です」


「わかった、すごくいけないことだ!」




 むじゃきな顔でうなずく72番を見て、「そのとおりです」とため息まじりにつぶやいた。

 まったく、この男は…学習するだけうちの父親よりましだけど。

 去年の3学期中、つきっきりで指導して、多少は成長したと思ったのに…。
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