監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「へぇ、チビのくせにちゃんと看守してんだな」


「あ、キング~!」


「よぉ、わんこ」




 聞こえるはずのない声に固まって、バッといきおいよくふり返る。

 工場の入り口には、燃えるような赤髪の108番が立っていた。

 どうして革工(かくこう)の108番がここに…!?




「っていうか、またチビって言った!」


「わんこの近くにいるとひときわちいさく見えるぜ、おチビちゃん」


「はぁっ?」


「け、景依ちゃん、みんないるから…!」




 兎杏にくいくいっとそでをひっぱられて、ハッと我に返る。

 冷静に、冷静に、と唱えながら私はこほんと咳払いをした。




「108番がなぜここに?」


「センセーに呼ばれて来たんだよ。わんこが暴れてるからなんとかしろって」
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