監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
「適当って…!」




 あ~、もう!病人の処置が先だし…!

 108番も食堂に連れて行かなきゃいけないけど、とりあえず医務室に行かなきゃ!




「ちょっと来てください、そのひとの処置を先にします!」


「おー。景依(けい)がまじめでよかったわ」


「名前で呼ばないで!」




 108番の背中を押して急ぎ足で医務室に向かい、ガラッと扉を開ける。

 なかに入りながら体調をくずした受刑者をさがすと、ベッドの上は無人だった。

 ううん、それどころか医務室にはだれ1人いやしない。




「脱走した…!?」


「ふわ~ぁ、そうかもな~。もし俺のはなしが本当なら。…じゃ、案内サンキュ」




 冷や汗を流すと、108番は私の拘束から逃れて、のんびりベッドへ歩いていった。
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