監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「えっ…?」


「本当に体調がわるいのは俺。しばらくここで寝てるから、そう言っといてくれや」


「わ、わかった…」




 混乱したまま、とりあえずうなずくと、108番はちらりとふり返って「ぷっ」と吹き出す。




「ちょろいやつはきらいじゃないぜ。かわいい女も」


「…」


「ま、センセーのお言葉に甘えて、寝させてもらうか~」




 わけがわからないまま、ぐっと伸びをする108番を見て…ようやく、頭がはたらき出した。

 …つまり、私はだまされたってこと?

 この男のうそに?




「…どこから…」




 ううん。

 そんなのは問題じゃない。

 私をだました…。


 私がだまされた…受刑者なんかに!
< 53 / 292 >

この作品をシェア

pagetop