監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
 きっ、と108番の背中をにらんで、私は彼に近づいた。

 足払いをしかけてベッドに押さえつけようと、足を伸ばすと、108番は避けるようにふり返って、逆に足払いをしてきた。




「わっ!」




 体がまえにたおれて、あわてて受け身を取る。

 ベッドにぼすんとたおれこんだ私は、すぐに顔を上げて…両手を頭の上で手早く拘束された。




「なっ…!」


「俺のほうが実戦慣れしてるみたいだな。っていうか、なんかいつもより気ぃ抜けてねぇ?おチビちゃん」




 からかうようにチビと呼ばれて、かぁっと赤面する。

 足を使ってこの状況から抜け出そうとすると、ひざを乗せて押さえつけられた。

 せっかくみがいた体術も、ここまで体を押さえられていると活かせない。
< 54 / 292 >

この作品をシェア

pagetop