監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「休憩時間だからと所内で気を抜いたこと、じゅうぶんに反省しました。…ですが!」




 つかつかと、中央のテーブルを避けて奥の会長席に近づき、バン、と手を乗せた。

 デスクに身を乗り出すように、財前先輩に詰め寄る。




「あれは不純異性交遊なんかじゃありません!」




 この一言が言いたかった!

 そもそも私は男がきらいだし、万が一好きになるとしても、誠実で人にたよらなくて婦女子を守るような男性だし。

 108番みたいな、自分の罪を反省しない詐欺師なんてぜったい好きにならないから!




藤枝(ふじえだ)の男ぎらいは承知している。元よりそんな報告信じていない」


「えっ?」


「おおかた、108番が己の罪を軽くするために共犯関係を作ろうとしたんだろう。きっちり罰を下したが」


「な、なるほど…」
< 58 / 289 >

この作品をシェア

pagetop