監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
あれにはそういう意図が…。
私へのいやがらせかと思ってた。
目を伏せながらたんたんと言った財前先輩は、デスクのはしからファイルを取って、私に差し出した。
「その、真に受けすぎるところは直したほうがいい。…業務日誌だ、確認しておくように」
「はっ、はい!」
「それから、明日は矯正局員がこの学園へ視察に来る。藤枝も俺とともに、案内に回れ」
「わかりました」
矯正局って言うと、法務省の…。
復帰そうそう、あわただしくなりそう。
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「こちらが木工工場です」
午後の作業中、視察に来たおえらいさんを連れて施設内を案内していると、工場を見せる番が回ってきた。
ここの問題児と言えば72番だけど…まぁ、周りがちょっかいを出さなければ大人しく作業しててくれると思うから、大丈夫かな。