監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
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財前(ざいぜん)風真(ふうま)視点―


 カチャカチャと、カトラリーが食器にふれる音がひびく。




風真(ふうま)。先日の件だが」




 父がはなし始めたのを見て、食事の手を止めた。

 学園の視察があった28日からちょうど5日後の日曜日。

 食事の予定が入ったときから、例の件についてはなす場だと予想してはいたが。




「彼には退職してもらったよ。我が息子へのテストとして、最後に役立ってなによりだ」


「我々が誤った思想を拒否できるか、試していたのですか」


「そんなところだ。おまえと次席の子で追い払ったそうだな」


「えぇ。次席の者が先走りましたが」




 藤枝景依。

 ゆうしゅうな生徒だが、まだ粗が目立つ。




「今年の次席はたしか、女子生徒だったな」


「はい」




 父は思案にふけるように、「ふむ」と目をつむる。
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