キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
「また僕に泣きながら抱きついてくれてもいいですよ? いつでも慰めてあげますから」

「いっ、いいから!」

まぁ、落ちるのも時間の問題か。

先輩みたいな警戒心高いタイプは時間をかけてゆっくり落とすのが得策だな、多分。

その顔が僕という沼に溺れ、おかしくなっていくのが心底待ち遠しいな。

「……ねぇ、1個…、聞いていい?」

「はい?」

「じゃあさ……、なっ、なんで何もしなかったの…」

布団をギューッ、と自らの元に引き寄せ、俯く先輩。視線が定まらず言葉をつまらせている。

「なんで、とは?」

「だから! その……っ、媚薬のせいでムラムラしていたのに……、、1晩襲わずにいてあげた、って…」

「あぁ」

……ほんと散々でしたよ。

1晩中体は熱いし、マジでムラムラするし。

今だってこれ多分効果切れてねぇ…。

こんなんただの自爆じゃねぇか。

ベッドから立ち上がり、乱れた服を直しながら答える。

「寝ている女性を襲うほどクズではありませんから、僕」

良かったですね。……相手が僕で。

布団にくるまってこちらを見つめる先輩に微笑みながら付け足す。

「先輩はとても魅力的で何度も襲ってしまいたくなったんですけどね」

「…っ」

先輩の華奢な肩がビクッ、と跳ねる。

「あ。僕の紳士的な行いに感動しちゃいました?」

「しっ、してないから……!」

「あはは、そうですか」

じゃあ、どうして……

先輩の顔、こんなに赤いんですかね。
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