パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
「別に、チョコレート好きなんだなって思っただけだよ!」

「は?」

おいしそうな顔は特にしてなかったけど嫌そうな顔もしてなかった、プリンの時みたいに。

「甘いもの好きじゃないのかなって…思ってただけ!」

「…普通に好きだけど」

ふーん、そうなんだ。
じゃあプリンが嫌いなだけなんだ…

やっぱりプリンが嫌いな理由はこないだのあれだよね?

“こうやってよく食べてたよね?”

落ち着いた声だったけど冷たくて凍てつくような声だった。

冷血って言葉がよく合う、そんな人だった…


あの時の柏木先輩は。


べちゃっとひしゃげたプリンが助けてと悲鳴を上げてるようであの時の悲しい気持ちは消えずに私の中に残ってて。

なんであんなことするのかな柏木先輩…

てゆーか冷静に考えれば柏木先輩が嫌う理由はわかるんだよ!上からだし態度悪いし横暴だしめっちゃむかつくから!


…でも、プリンはひどいと思った。


そこまでしなくてもさ、だってプリンに罪はないんだよ?

むかつくけど!


そこまで嫌い…ってどうなんだろう?


でもお兄ちゃんからしたら許せないか、彗くんの身体勝手に利用して嫌だよね。

彗くんの身体を乗っ取ってるのはほんとそうだもん、めっちゃわかるよ!早くどっか行ってほしいよね!


だから…っ 



あれ、でも…

柏木先輩は彗くんのもう1人の人格のことって知ってるんだっけ?



ううん、兄弟だもんね!

知ってるよね、知らないわけないよね!

そうだよね…




じゃあどうして私に口止めしたの?
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