「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。
「しかし、こんなことになるなんて思っていなかった。まさか、君と婚約することになるなんて……」
「そうですか? 私はこうなるかもしれないと思っていましたが」
「まあ、そうか。それに関して、僕はひどく鈍感だったようだね。考えてみれば当たり前だ。僕の父上と君の父上は、竹馬の友だからな……」

 アルペリオ兄様は、私と婚約関係になったという事実に少しだけ動揺しているようだった。
 確かに、予想していなかったらそんな反応になるのかもしれない。私達はそれまで、ずっと兄と妹のような関係だったのだから。

「レミアナ、君はこの婚約が嫌だったりしないのかい? 僕と結婚することをどう思っているのか、君の率直な意見が聞きたいんだが……」
「嫌だとは思っていませんよ。アルペリオ兄様のことはよく知っています。どこの誰だが知らない人と婚約するよりは、余程いいですから」
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