「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。
「……でも、クルレイド様のことを見ると一年という月日を思い出しますね」
「え? どうしてですか?」
「いや、背が随分と高くなりましたから」
「ああ……」

 そこで私は、クルレイド様の身長について指摘した。
 この一年間で、彼は随分と背が伸びた。今では彼の顔をみるためには見上げなければならない。それは一年という月日を感じさせる変化といえるだろう。

「この一年は、どうやら俺にとって成長期だったみたいです。まさかこんなに大きくなるなんて、俺も思っていませんでしたが……」
「でもなんというか、身長だけではなくて、内面も比例して立派になられていると思います。この一年は色々とありましたから、そちらも成長したのでしょうね……」
「そう言っていただけると、俺としてもありがたいのですが……」

 色々な事情があったため、クルレイド様は若くして統治者となった。
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