【シナリオ】御曹司には興味がない〜スマホ依存症の私に執着しないで〜

第十五章 ハッピーエンド

〇翠のマンション

 翠に囚われて、一週間後には同棲することになっていた。そして、半年も経つと、その生活にも慣れるもので……

 紗菜「翠、朝だよ」
 翠「う~ん。もう朝か」
 紗菜「朝ご飯できてるよ」
 翠「わかった。顔洗ってくるから、目覚めのキスは?」
 紗菜「もう〜、チュッ」

 違和感なく、甘々な同棲生活を送っている。

 ただ、それぞれに大きな変化があった。

 四六時中スマホを見ていた、スマホ依存症の紗菜の生活は、翠との生活で人並みのスマホの使用時間になった。移動時間などは、料理のレシピを見たりと、SNSを見る機会が極端に減ったのだ。
 そして、紗菜が運営していたホームアドバイザーサイトは、紗菜個人ではなく、仙石不動産が運営することとなった。もちろん、希望があれば仙石不動産が物件を責任もって紹介する。無料相談のスタンスは、今までとは変わらない。

 若き社長として威厳があった翠だが、紗菜というパートナーを得て、会社全体そして社員の家族にまで、目を向けるようになった。紗菜の存在が、さらに会社として大きく成長するきっかけになったと言っても過言ではない。
 今まで以上に、社員の意見を取り入れている。

〇社長室

 蓼科「今期の売上進捗の速報です」
 翠「思った以上に順調だな」
 蓼科「俺には、水野さんが女神に見えるよ」
 翠「はあ?」
 蓼科「水野さんのお蔭で、翠も成長しているし、会社も成長している」
 翠「お前に偉そうに言われたくない」
 蓼科「長年、翠をそばで見てきたが、今は男として尊敬できる」
 翠「……」

 ずっと支えてくれている朝陽からの言葉に、翠自身が気づけていないことがあるようだ。

 報告書から始まった、紗菜との出会いに感謝したい。
 
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