ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
一方で私も、クリムが他の子たちと遊べるようになればいいと思って、こちらから遊びに誘うのをやめてしまった。
私と一緒にいると、またクリムが揶揄われてしまうかもしれないと思ったから。
何よりあの時の言葉が、私の心に重く響いているせいである。
そしてクリムの方からも誘って来ることが無くなってしまったため、私たちはそれきり疎遠になってしまった。
でも、仲違いはこれだけで終わらなかった。
本当の大喧嘩をしたのはこの後のこと。
それから二年後の十歳になった時、お母さんが病気で死んでしまった。
私はすごく悲しくて、毎日毎日お墓参りに行った。
集めると死者の魂を呼び寄せると言われている『夜光花』の花を森まで摘みに行って、それをお供えした。
そんな日々を繰り返していたある日、クリムが唐突に私の前に現れた。
『そんなことしたって無駄だよ』
『無駄……?』
『ショコラの母親はもう死んだんだ。そんなことしたって死んだ人間は戻って来ることはないんだよ』
なんとも心ない言葉だと思った。
本心ではそんなことわかっているつもりだったけど、少しでもお母さんのことを忘れたくないから私はお墓参りに行っていたのに。
『あんたには関係ないでしょ。関係ない奴が、勝手に割り込んで来ないでよ』
そう返すと、クリムは血相を変えて私の腕に掴みかかって来た。
そのまま私の手元から夜光花を取り上げて、信じられないことに目の前で“踏み潰した”。
『無意味なことをやめろって言ってるんだ! 見てるこっちが苛つくんだよ!』
どうしてクリムがいきなり、とても怒った様子で、こんな心ないことを言って来たのかはわからなかった。
しかし彼のその言動で、私はお母さんへの想いを否定された気持ちになってしまった。
きっと私のせいで村に友達がいなくなってしまったから、クリムは自分のことを恨んでこんなことを言って来たのだと思った。
恨まれているんじゃないかという自覚はあった。
でもだからって、お母さんへの想いを一方的に否定してくるなんて、私はどうしても許せなかった。
『あんたなんかに何がわかんのよ! お母さんのこと、なんにも知らないくせに!』
そうして私たちは完全に縁を切った。