キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

このまま目を覚まさなかったらどうしよう。

もう凌生くんとお話しできなかったらどうしようって……そればかり考えてた。


「せっかく再会できたのに……今度は永遠に離れ離れになるかと思いました」

「未夢……」


なんか大胆な発言だな?とクツクツ笑う凌生くんに、思わずハッとする。


「りょ、凌生くんが死ぬかもしれないって思ったら……色々こみあげるものがあって……。それに、ケンカしたまま謝ってなかったのも嫌で……。

……凌生くん、昨日はすみませんでした。凌生くんは忠告してくれたのに、」



――優しさは裏切りと同等の価値ってこと忘れるなよ



「何も分かってなかったのは、私でした」

「……未夢、おいで」

「え……?」


「おいで」と言いながら、凌生くんはズイッと私に歩み寄る。

端正な顔を近づけられ、思わずしどろもどろ。


絶対に、顔が真っ赤になってるよね……。

うぅ、恥ずかしい。


すると案の定だったのか「ゆでタコみたいだな」と凌生くん。

そんなに笑うなら、見ないでください……っ。
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